3deliレシピ開発Story(1)~岩根和史氏

10代で料理の世界に入り、この道30年の大ベテランである和食料理人の岩根和史さん。現在は都内にある世界的外資系ホテルの日本料理店総料理長を務める彼が、どのように3deliのレシピ監修と向き合ってきたのか。同じレシピ監修者の1人である内田朝陽さんとのやり取り、そして料理にかける想いを伺いました。

すべての方が安心して食べられる楽しい食事を

 勤め先のホテルではいい食材も使えますし、機材も揃っているので、当然いいものが作れます。ですが冷凍のデリとなるとそう簡単にはいきません。ですから、この話をいただいたときは正直悩みました。そこで3deliさんにどんなデリを作りたいのかを伺ったところ、「自分の周りの人が安心して食べられるものを作りたい」という答えが返ってきたんです。自分の大切な人に変なものを食べさせたくない、そんな考えの方たちが先導するのであれば一緒にやってみたい。その一心でお引き受けしました。

 料理長としての立場上、これまでメディアの方やマーケティング担当者から「岩根さんの目指す料理は?」と聞かれ続けてきましたが、私は決まって「体に優しい料理を作りたい」と答えてきました。飛び抜けて盛り付けが綺麗、ずば抜けて美味いといったことは、人に出す料理を作る上で大前提じゃないですか。もちろん店では美味しくて当たり前のお金をいただいていますし、見た目も美しくて当たり前。ですから、それプラスαを考えたときに、あれだけ食べたのに翌日苦しくないとか、あれだけ呑んだのに体調が悪くないとか、次の日になっても体が喜ぶ料理を作りたいなと。それはデリという形態になっても同じことです。私は滋養の“滋”に“味”という“滋味”という言葉がすごく好きで、その言葉を体現したのが3deliのレシピです。

体のことを考えて作られた素材を使って

 30年近くにわたって和食の道を歩み、対面で料理をお出しすることを主としてきた自分が、初めて携わるデリという世界。メニューを考えるときに常に頭にあったのが、「忙しい現代社会の中でゆっくり食事ができない方たちに、楽しい食事をお届けしたい」ということでした。こだわったのは、できる限り良い食材を使い、素材そのものの味を引き立たせること。それから体に優しい料理であること。

 調味料を選ぶ際は、水でも塩でも必ず産地に足を運んで自分の目で見て選んでいます。そこで生産者の想いに触れるわけですが、産地をまわっていて良いと思うものは、人の体のことを考えて作っている作り手さんによるものが多いんですよ。それはもう説得力がありますよね。そうしてこれまで体のことを考えて作られたものだけを扱ってきましたが、その経験を少しでも3deliに活かせたらと思い、試作を重ねてきました。

 メニューは当初、普段食卓に並ばないような小洒落たものも考えていました。ですがやっぱり喜ばれるのは鉄板の家庭料理。それを踏まえて、西京焼きや鯖の味噌煮をはじめとした家庭料理を、どうデリに盛り込んだら良い演出ができるのか、工夫を重ねました。

 古来から伝わる和食の食べ合わせを越えるものは理屈的にもなかなかないので、和食が3deliの中で活躍していくということは日本人として誇らしいですね。将来的には海外展開も視野に入れているということなので、3deliを通して和食の素晴らしさを感じてもらえるようなものができたら最高です。

内田さんの料理が加わることでバリエーションが広がった

 レシピ決めは、立ち上げ当初から監修者チームが一丸となってやってきました。中でも内田さんとは、お互いの味を知るためにありとあらゆる料理を持ち寄って、こんな料理を入れたら喜んでいただけるんじゃないかという視点で試作を繰り返して。自分は和食の料理人なので、彼には「和食はこっちでやるから、作れる作れないは別にして、作りたいものや食べていただきたいものを考えて欲しい」と伝えました。

 内田さんにはとても刺激を受けています。長い間和食の世界にいると、考えが凝り固まってしまっているところもあるので、想像もできないことを知ることはとても勉強になる。試作品の中には荒々しい部分も多少はありますが、そこさえ埋めてしまえば味のバランスもいいし、食材の組み合わせも素敵なんですよ。自分だけだったら岩根ワールドで凝り固まって、面白くも何ともなかったと思います。内田さんの料理が加わることで、バリエーションが格段に広がり、1人で提案するより全然良いものができる。「こういう使い方があるんだ」と唸らせる彼のアイディアは、ユニークで遊び心に満ちたものです。そのアイディアをブラッシュアップさせ、商品として世に出すという一連の流れが楽しくて、今はとてもワクワクしています。

 


 

Profile

岩根和史

Kazushi Iwane

東京都内の世界的外資ホテル日本料理総料理長。素材を生かした料理と美しい盛り付けが人気の、日本を代表する和食料理人のひとり。アブダビやモルディブをはじめ、世界各地で和食講師を務めるなど、多方面で活躍している。

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